新たな技術を習得して、製造工程の可能性を広げる。
レーザー加工も、その一つです。
自動車整備士から刃具製造へ、21歳で転職してすぐに配属されたのがワイヤー仕上げと再研磨を行うチームでした。上司の下で一から仕事を覚えていったのですが、苦労したのが製品の種類の多さ。それぞれに対応した加工を行うため、まずは一つひとつを覚えることから始めました。ワイヤー線に電流を流し、ダイヤモンドを切断するワイヤー仕上げでは顕微鏡での測定が重要視され、プラス・マイナス100分の1の公差が求められます。寸法精度は最終製品の品質を大きく左右するので、非常に繊細な技術を習得する必要もありました。
また、23台という多くの機械を使って加工するのも、ワイヤー仕上げの特徴です。効率良く機械を稼動させ、チーム6名の作業段取りを組み立てるのも私の仕事。空白時間をつくらないように体制を整え、精度の高いものを次の工程に渡すことができた時は大きなやりがいを感じます。
2023年、私たちのチームにレーザ加工機が導入されました。ダイヤモンドの加工はワイヤー仕上げが主流。しかし、お客様はより高い精度を求め、私たちはそうしたニーズに対応する必要がありました。その答えとして用意されたのがレーザー加工機だったのです。
全く触れたことがなく私にとっては大きな挑戦でしたが、この新しい機械を使って加工する取り組みに手を挙げました。仕上げるものはワイヤー加工と同じ、その過程が異なるだけと考えたら可能に違いない。そう思いながらも、会社の中に前例やお手本がないのはやはり不安でした。
幸いだったのは勉強する時間を与えられこと。3D CADの習得や3次元測定機の取り扱いなど、課題を一つずつクリアしていきました。その結果、およそ1年後には稼働させることができ、今は日本刃研の新たな“売り”にするためにさまざまな可能性を追求しています。