多くの工程で技術を学び、さらなる品質向上につなげたい。
かなえるための歩みが、スタートしています。
日本刃研に勤めている身内が、ものづくりが好きで、アニメの登場人物の模写もしていた私を見て、刃具加工の素養があると考えていたそうです。どうやら社内にも話が通っていたようで、ある時社長から「うちの会社に来ないか」と声をかけていただきました。これが、21歳で入社したきっかけです。
外径仕上げ工程に配属され、先輩たちの動きを見た第一印象は、やはり“難しそう!”。「まずは後ろで見ていなさい」と言われ、ステップを一つひとつ頭に入れていきました。
外径仕上げとは、ほぼ最終段階までつくり込まれた刃具を機械にセットし、回転させながら砥石で最終寸法まで削る工程。最初の寸法出しの正確さが何より重要です。0.001ミリの世界は、気温の変化も影響するほど繊細なもの。今は機械の操作、指先の感覚、そして数をこなして身に付けた “慣れ”、これら全てを生かして刃具と向き合っています。
入社当初は、外径仕上げの技術を磨き、役職者となって後輩の指導ができるようになりたいと考えていました。しかし今は、スペシャリストよりさまざまな工程の技術を身に付け、マルチ工として刃具製造に携わる将来を思い描いています。既に外径仕上げの仕事をしながら、直前の工程であるワイヤー仕上げも時々手伝っています。前工程や後工程を学べば、それぞれに必要な知識も技術も見えてきます。“他を知る”ことは、製品の質をより高めるための相乗効果を生むはずなので、ぜひ実現したいと考えています。
私たちの仕事は、製造ラインに乗って、同じものを数多くつくるというものではありません。お客様のニーズに沿い、技術をフル活用して一点物を形にするケースが大半です。どうすればご要望に応えられるかを常に考え、工夫が必要だからおもしろいし、やりがいもあります。私がマルチ工を目指すように、これから仲間になる人もどんどん新しいことに挑戦してほしいと思います。